2ヶ月くらい前の記事ですが発見したので…。
尋常小学校卒の元簡易裁判所判事の宇都宮明さんが、84歳で修士の学位を取得したそうです。
田中角栄のエピソードには「小学校卒の総理大臣」がありますが、その小学校とは当時の高等小学校です。
宇都宮明さんは、なんとその下の尋常小学校卒業なんですね!!
いやいや、驚きました。
この方は、警視庁の元警察官で副検事になったということは、警部以上の階級だったってことですね。その後、簡裁判事に任官して定年を迎えたということです。
すごいというか偉いというか、尋常小学校卒なんていうのは、ノンキャリア組の最たるもので、今でいえば高卒の巡査から初めて警部→副検事→簡裁判事という昇進の経緯がすごいです。
巡査長か巡査部長で定年まで勤める警察官も多い中で、貪欲に昇進・検事・判事へ任官というのはすごいですね。
まぁ、司法制度改革を考えている私にしてみれば、簡裁とはいえ、警察・検察出身の裁判官が任官するというのはケシカラン…なんて思ってしまうのですが、この記事については、まぁいいやって感じですかね。
84歳の修士学位 さいたまの宇都宮さん「次は博士号」
2007年03月18日
84歳の修士誕生――。さいたま市の宇都宮明さんが17日、聖学院大学大学院(埼玉県上尾市)から政治学修士の学位を授与された。博士号を目標に今後も勉強を続ける。「ほっとしたというより、これからスタートです」。総代に選ばれた授与式では、六つ年下の大学院長から「よかったですね」と祝福された。
卒業式で賛美歌を歌う宇都宮明さん=17日、埼玉県上尾市の聖学院大学で
宇都宮さんは愛媛県西予市の出身で、警視庁の元警察官。「法律をいかせる仕事はないか」と、勤続28年を迎えた55歳で副検事になる試験を受けて合格。大津区検などで勤務した後、簡易裁判所の判事に。70歳の定年まで静岡、札幌、川越の各簡裁で訴訟を指揮した。
00年、小渕恵三元首相の後任に、有力政治家の「密室の談合」で森喜朗氏が決まった過程を見て、「日本の政治は一体どうなっているんだ」と興味を抱く。通信制の放送大学で学んでいたが、「先生に直接、質問をぶつけたい」と一昨年、自宅から通える聖学院に入学した。
入学審査では学歴が問題になったという。最後に卒業した学校は、家庭が貧しかったこともあって尋常高等小学校。しかし、経歴などから「大卒相当」と認められ、一昨年秋に政治政策学研究科の院生になった。
修士論文は「小日本主義」を唱えた石橋湛山・元首相のアジア認識がテーマ。小泉前首相の靖国参拝で、政治家の歴史認識に関心を持ったという。
戦時中、徴用されて軍需工場で働き、択捉島の航空隊に配属された。「昔の日本に戻ってはだめ。やはり平和国家に徹しないといけない」。そんな思いもある。
リポートの書き方がわからず、「論文が遅々として進まなかった」が、家族が支えてくれた。東京都内に住む長女明美さん(48)には時々、文章の校正をしてもらった。陰ながら支えてくれた妻のエミ子さん(73)にも感謝を忘れない。
「大正デモクラシーからなぜ軍国主義、対外膨張主義に走ったか。博士課程で掘り下げたい」。指導教授は引き続き、80歳の田中浩さんが務める。「互いに戦前の日本を知っており、兄のよう。リベラリズムの研究を通じて、保守化を強める政治の現状を一緒に勉強したい」とエールを送る。